皆さんこんにちはPartner of Medical Translatorsの津村です。

今日は動名詞(gerund)の訳し方について考えてみたいと思います。

 動名詞とは?

動詞の原形+ing」の形で表されるものを動名詞と呼びますが、見た目は現在分詞と同じです。しかし、動名詞はその名称が示すように「動詞の要素をもった名詞」の意味を持ちます。動名詞には単一形(動詞原形+ing)のほかに受動形(being 過去分詞)、完了形(having 過去分詞)、完了受動形(having been 過去分詞)の形があります。

例えば、heal(治療する、癒やす)にingをつけた”healing”という単語だけを見ても、これが動名詞なのか現在分詞なのかは解りません。具体的に文中での使われ方を見ないとその判断は出来ないのです。

動名詞として:  I like healing people. (人を癒すことが好きだ)

現在分詞として: I like people healing. (癒している人が好きだ)

この様に、動名詞は「~すること」と訳せますが、名詞の性質を持っていますので、主語にもなれますし、補語、目的語にもなれます。一方、同じ「~ing」である現在分詞はこの例文の様に形容詞として使われます。

 何故、動名詞が必要なのでしょう

”I like healing”とは「癒し(癒すこと)が好きだ」と言う意味ですが、自分が癒されることが好きなのか、誰かを癒すことが好きなのかはよく解りません。

そこで、「誰かを癒すこと」が好きだと表現したい場合を考えてみましょう。「~が好きだ」は”I like ~”で、誰かを癒すは”heal people”ですが、これを単に繋げると”I like heal people”となり、強いて訳せば「私は、好きだ、人を癒す」となります。これではふたつの動詞likeとhealが重なっていて、文章になっていませんよね。

そこで、「人を癒す⇒人を癒すこと」と名詞の形にしてあげると、「私は、人を癒すことが好きだ」となり、立派な文章として成り立つことになります。そこで、healを動名詞の形にして;

heal people ⇒ healing people

と変えてあげると、”I like healing people.”という意味の通る文になるのです。この様に動詞が重なってしまう文章の場合に、主動詞でない動詞の方を「動詞原形+ing」という動名詞に変えることで文章として成り立たせ、「~すること」と言う表現が可能になるのです。

一方、現在分詞の「癒している人」では、人→people、癒している→healですので、”people heal”となりますが、これでは「人が癒す」と言う意味にしかなりませんし、likehealのふたつの動詞が重なっています。そこで、「heal:癒す」を人に掛る形容詞として「healing:癒している」という現在分詞にすると、”I like people healing”となって「癒している人」が「好きだ」と表現できるのです。

 動名詞の使い方

動名詞には以下の5通りの使い方があります。

① 主語として;

Brushing your teeth after meal prevents from tooth cavity.

(食後の歯磨きは虫歯を予防する。)

Determining the safety of the new drug requires a double-blind trial.

(新薬の安全性を評価するためには二重盲検試験が必要です。)

② 補語として;

The best treatment is sleeping.  (一番の治療法は寝ることです。)

[best treatment=sleepingの関係ですのでSVCの文型です]

③ 目的語として;

I can’t stop smoking. (煙草を止められない)

[I ≠ smokingの関係ですのでSVOの文型です]

④ 前置詞に続いて;

These results suggest that this is a valuable model for elucidating the mechanism of cancers.

(これらの結果は、これがガンのメカニズムを解明するための重要なモデルであることを示唆している。)

⑤ 合成名詞として;

The number of seeing-eye dogs is very limited.

(盲導犬の数は極めて限られています。)

ここで、前置詞に続く動名詞について少し説明します。

前置詞(inatwithfromforなど)は基本的に名詞(句)の前に置いて、幹となる文章(主文)にくっつきます。しかし、時として、動詞を含む文章を主文にくっつけたい場合も出てきます。

④の例文でみますと、”elucidate the mechanism of cancers”という動詞を含む文章をthis is a valuable modelと言う文章にくっつけたいので、forという前置詞を置いて繋ごうとしているのですが、elucidateと言う動詞をなんとかしないと名詞句になりません。そこでelucidateを動名詞の形elucidatingに変えて全体を名詞句とするのです。ちなみに、前置詞に続く名詞(句)を前置詞の「目的語」と呼びます。

 動名詞と不定詞の違い

上の①~③の例文を見ますと、動名詞ではなくto不定詞(to+動詞の原形)でも良さそうです。例えば①のBrushing~をTo brush~としても「歯を磨くこと」という意味に変わりがないのでは・・・と思いませんか?

実はそのとおりで、to不定詞には3通りの用法;a) 名詞的用法 b) 形容詞的用法 c) 副詞的用法がありまして、夫々a) 「…すること」、 b) 「…するための~」 、c) 目的「…するために」あるいは原因「…して」、と訳します。

この時a) 名詞的用法は動名詞の用法と同じになります。しかし、意味的にはかなり違ってきますので注意が必要です。

主語として使われた場合、次の文のどちらが適切な表現でしょうか?

a) To study pharmacology is interesting.

b)  Studying pharmacology is interesting.

この場合、b)の動名詞を使う方が適切なのです。

動名詞はニュアンス的に「習慣(継続)的な行為や一般論」を意味し、to不定詞は将来のことを指して「・・したとしたら、それは~だろうな。」という意味が含まれています。

この例文のシチュエーションは「普段から薬理学の勉強をしていて、面白いことに気づいている。」というものですので、b)の動名詞の方が適切な表現となります。a)To study~の方は「薬理学をやってみたら面白いだろう」というニュアンスが含まれてきますので少し違っています。しかし、英文としてはどちらも成り立っています。

では、目的語として使われた次の例文はどちらが適切な表現でしょうか?

c) He likes healing people.

d)  He likes to heal people.

これはどちらも適切な表現で「彼は人を癒すのが好きです」と言う意味になります。

「なぁんだ、どっちでも使えるんだ」と思わないことです。では、次の例文はどちらが適切な表現か解りますか?

e) He wants healing people.

f) He wants to heal people.

これはf)が正解で、e)は誤りです。では、c)d)はどちらでも良くて、e)f)は一方しかダメな理由は何でしょうか?

実は主動詞によって目的語が動名詞か不定詞かが決まっていて、次の3パターンがあります。

どちらでもOK like / love / start / begin / continueなど
動名詞のみ enjoy / finish / stop / practice / give upなど
不定詞のみ want / hope / decide など

 

 動名詞を目的語に取る動詞は継続志向

どのパターンを使うかは主動詞によって異なるので、覚えていくのは大変ですが、次のような基本的なイメージをもっていれば、ある程度の助けになります。

例文e)f)の主動詞wantは、「~が欲しい」という意味で、無いものを望んでいることです。イメージ的には「将来的に手に入れたい」という未来志向の動詞なのです。同様に、hopedecide(まだ判断が付いていないからdecideするのですよね)なども未来志向の動詞です。

この様な未来志向の動詞に対しては、将来のことを指して「・・したとしたら、それは~だろうな。」という意味が含まれているto不定詞が使われるのです。

一方、enjoy finishpractice などは過去から継続してきた何かに対する動詞です。

例えば、enjoy 「~を楽しむ。」は、あることを継続している間の時間を楽しむ という意味ですし、finish 「~を終える。」は、それまで継続してきた動作などを止める と言う意味です。

これらの過去から継続してきた何かに対する動詞には、ニュアンス的に「習慣(継続)的な行為や一般論」を意味する動名詞が使われるのです。

基本的には動詞毎に覚えていかなければならないのですが、イメージとして「動名詞⇒継続志向」、「不定詞⇒未来志向」と覚えておくと良いでしょう。

そしていずれの場合でも和訳は「(動名詞/不定詞)が/は(主動詞)だ」となります。

 MEGAFEPSDA+動名詞

動名詞を伴う動詞を覚えるのに都合のよいゴロがあります。それはMEGAFEPSDA(メガフェプスダと発音)です。皆さんも受験勉強の時に覚えた記憶があるのではないでしょうか。

このMEGAFEPSDAの使い方は、主動詞の頭文字がMEGAFEPSDAのどれかに該当したら、動名詞が続くと覚えるのです。例えば、enjoy / finish / stop / practice / give upの頭文字はEFSPGで、いずれもMEGAFEPSDAのどれかに該当していますので、これらの動詞は動名詞を伴うのです。

具体的には;

(mind, miss) E(enjoy, excuse) G(give up) A(admit) F(finish) E(escape) P(practice, put off, postpone) S(stop, suggest) D(deny) A(avoid)

等ですが、もちろん例外がありましてpromiseのようにPで始まっているのに、to不定詞が後ろに来る動詞もあります。

 動名詞が来るか不定詞が来るかで大きく意味が異なってくる動詞の例

① remember

remember ~ing → 「(過去に)~したことを覚えている」 【過去の動作】 

g) He remembers coming this hospital before.

(彼は以前にこの病院に来たことを覚えている)

remember to   → 「忘れずに(将来)~する」      【将来の動作】 

h) He remembers to come the hospital today.

(彼は今日、病院に行くことを覚えている)

Forgetも同様になります。また、remember to~はdo not forget to~と同じで「忘れずに~する」となります。

② try

try ~ing → 「試しに~してみる」       【目的の動作は完了】 

i) I tried operating the patient, and I found he beyond cure.

(私は試しに患者を手術してみたが、手遅れであることがわかった。)

try to  → 「~しようと努める」        【目的の動作は未完】 

j) I tried to operate the patient, and I could not because of his collapse.

(私は患者を手術しようと努めたが、衰弱がひどいためにできなかった。)

③ be afraid of

be afraid of ~ing → 「~するのではないかと心配して[恐れて]いる」

k) The patient is afraid of dying of cancer.

(患者は癌で死ぬのではないかと恐れている。)

be afraid to    → 「怖くて~できない~する勇気がない

l) The patient is afraid to ask his condition of cancer.

(患者は怖くて、癌の病状を尋ねられなかった。)

④ stop

stop+ ~ing   → <~するのを止める>

m) He stopped smoking.

(彼は喫煙を止めた。)

stop+ to   → <~するために止まる>

o) He stopped to smoke.

(彼は煙草を吸うために立ち止まった。)

如何でしたか? 動名詞や分詞は和文英訳の際に便利な手法ですが、間違いやすいので違いを正しく理解しておきましょう。

 

デハデハ

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