皆さんこんにちは、メディカル翻訳のフリーランス津村です。

昨日の続きとしまして、私の社会経験に沿って、フリーランスとなるための準備とか心構えについての続編を考えてみたいと思います。(前編はこちら

設定としては、大学卒業後サラリーマンあるいは派遣社員としてある会社に就職し、30代~40代になったいま「メディカル翻訳者として独立したい」となんとなく思っている・・・という人をイメージしています。

☕ 現役時代にやっておきたいこと

✒ 英語力を鍛える

まずは、基本的な英語力をアップさせましょう。

私の場合は、サラリーマン時代に外人が上司の部署に異動したことから、否応なく英語力をアップするしかありませんでした。

私が使用した教材は、アルクのヒアリングマラソン(詳しくはこちら)と、総合英文法参考書としてFOREST(桐原書店、石黒昭博監修)(詳しくはこちら)、ALL IN ONE(Linkage Club、高山英士)(詳しくはこちら)、そして洋書のEnglish Grammer in Use(Cambridge、Raymond Murphy)(詳しくはこちら)などをかなり使い込みました。あとは、務めていた会社の早朝英会話クラスに3年ほど通い、卒業時にTOEIC800点台になっていました。

英語力を鍛えるときの注意点は、生の実践英語を学ぶことです。これは、いわゆる受験英語とは相当違う特殊な英語です。日本の受験英語は実践英語や翻訳にかなりの悪影響を与えていると思います。

フリーランスになるためにその4:サラリーマン時代に実践英語力を身につけましょう。



✒ 翻訳力を鍛える

45を過ぎた頃に、ぼんやりとSecond lifeを意識し始め、「とりあえずは翻訳でも・・・」と軽い気持ちで語学スクールのメディカル(医薬)翻訳コースを受講しました。このコースを選んだ理由は単に、自分が医薬品企業で働いていたからです。

そこで、1年間の本科コースを 優秀な成績 😆  で終了し、いくつかの翻訳エージェントのトライアル試験を受けて、最終的に3社のエージェントさんと業務契約を結びました。

この頃から二足わらじの生活がスタートし、週末の土日はほとんど翻訳業務をしていました(もちろん、本業の方もしっかりしていましたヨ!)。二足わらじをスタートして2~3年後に卒業した語学スクールから「メディカル(医薬)翻訳コースの講師をお願いできませんか?」と誘われ、今度は、三足わらじ生活になりました。

その後、10年弱、三足わらじ生活を続け、その間に翻訳エージェント5~6社と語学スクール2校がお得意様として定着しました。これがフリーランスとして独立出来る下地となりました。

フリーランスとしての独立が失敗におわる大きな原因は、下地となるクライアントを持たずに独立してしまうことです。通産省の統計によりますと、独立した個人企業の半分以上が3年以内に廃業しているそうです。ある程度下地の出来ていた私でも、独立後の2~3年はけっこう持ち出しの生活でしたから、最低限、独立前にある程度の顧客を確保しておく必要があります。

フリーランスになるためのその5:独立するまでにある程度のクライアントを掴んでおきましょう。

☕ 作業環境を整える

✒ 仕事スペースの確保

フリーランスになると、在宅業務がメインになります。サラリーマン時代のような勤務時間とか昼休みとか週休2日とか有給休暇などの概念は全くなくなりますので、基本的に365日24時間営業となります。

そのため、自宅のどこかに仕事スペースを確保する必要があります。望ましくは個室を占有したいところですが、無理ならば、縁側の一角や大部屋の一角を専用スペースにすると良いでしょう。

私達が扱っている翻訳文書はその大半が機密文書ですから、紛失や第3者(家族を含む)への情報漏洩には十分配慮する必要があります。翻訳エージェントさんと業務契約を結ぶ際には、同時に、機密保持契約を結びます。この機密保持契約には通常、提供された原文書や納品する成果物等は施錠可能な(第3者のアクセスできない)場所に保管・管理することが明記されています。

特に、小さいお子さんなどがおられる家庭では、仕事用のPCやスマホ、タブレット、記憶媒体、書類などに自由に触れることが出来ない様にロッカーを置くとか、とびら付きの収納棚を用意すると良いでしょう。



私は現在、中二階の応接室を仕事部屋として占拠していて、ドアに鍵を付けて部屋全体をロック出来るようにしています。

フリーランスになるためのその6:作業スペースを確保し、機密保持が出来るようにしましょう。

✒ IT環境を整えましょう

現代は、インターネットやメール、光回線、無線LAN、クラウドなどのお陰で、日本中あるいは世界中どこにいても仕事が出来る時代です。つまり、物理的位置があまり意味をもたなくなってきています。

しかし、一方で、また、それが故に、フリーランスとなるためにはIT環境を整えておくことが必須となります。

最低限必要なITとしては、PC(パーソナルコンピュータ)と光回線があり、インターネットが使える環境にする必要があります。もちろん、PCに入れるソフト(OS[Windows 10など]に加えてWordやExcel、Power pointなど)も必要になります。



さらには、PC用の画面モニタ(大きいほどGood!)、外付けメモリー(2T以上が望ましい)、そして急な停電や落雷に備える予備電源なども整備しておくと良いでしょう。私の場合、翻訳作業中に停電になったことが数回ありますが、予備電源のお陰でそれまでの作業がパーになることが防げています。

私は、PCとして富士通のESPRIMO(詳しくはこちら)とモニタとしてパナソニックのVIERA(詳しくはこちら)の42形大画面液晶テレビを使っています。富士通はパナソニック系列の会社ですので、ESPRIMOVIERAの相性は抜群に良いです。また、モニタの付いていない国産PCとしては、ESPRIMOぐらいしかなく、あとは海外メーカーのものが幾つかあるだけですが、海外物は品質やアフターケアに不安が残ります。

PCのモニタは2連・3連のマルチに出来ますが、全てのPCでマルチが出来る訳ではありません。また、歳を取ってきて老眼が進むと10インチ程度の小画面では文字が見にくくなります。そこで、液晶やプラズマの大画面(40型以上)にすると、1倍率のA4版原稿の画面表示が実物の約2倍になり、それが左右2ページ分余裕で並べられます。これだと年配の方でも文字がはっきり見えますので、1面の大画面モニタはお勧めです。眼の疲れ度も小画面モニターより断然少ないです。

さらに、仕事の合間に見るテレビ番組や映画なども大迫力で、シアターモニタとしても鑑賞できます。PCはもう3代目ですが、私の液晶テレビは10年以上ほぼ毎日使っているのに、画面の劣化やゴーストが出ることもなく元気で頑張っています。最近は中古ものやメルカリなどで破格に安く買える場合があります。

それと、インターネットに繋ぐ回線ですが、光回線が絶対お勧めです。光回線のキャパはすごくて、私の場合、1本の光回線でPC2台用の独立インターネットに併せて、電話回線が3本同時に使えています。例えばフレッツ光だと、この倍ぐらいは余裕で使えるそうです。


この辺のIT関連の機器の費用は、信用金庫や政策金融公庫から設立資金として融資を受ける対象になりますので、融資が受けられれば、けっこうグレードの高いものを揃えることができます。

フリーランスになるためのその7:仕事をするのに必要なIT機器とIT環境を考えておきましょう。(実際の設置は独立資金の融資を受けてから)