皆さんこんにちはPartner of Medical Translatorsの津村です。

今回受託した翻訳案件は、ものすごくヘビーでした 😥 。

量子コンピュータ(quantum computer)に関する案件で、翻訳に際して量子コンピュータとはなんぞや? 量子ってなんだ? という下調べをしました。

そこで今日は、量子コンピュータとはなんぞや? 量子ってなんだ? についての私なりの理解をお話しします。

なお、以下にお話しする内容は、私が勝手に理解したものですので、学問的には間違っている可能性があります(多分間違っています)。ご注意下さい。

 量子(quantum)とは?

皆さんもご存じかと思いますが、世の中の物質は原子(atom)でできています。例えば一番小さな原子は水素(H)です。

そして、水素原子はひとつの陽子(proton:プラス電荷)とひとつの電子(electron:マイナス電荷)でできています。

(https://tcj-ex.co.jp/minus_hydrogen_ion.htmlより)

この図をみると地球と月の関係の様に見えるでしょ。そのとおりで、地球と月の間では引力の微妙なバランスが取られているのですが、陽子と電子の間もプラスとマイナスの電荷の微妙なバランスが保たれています。

水素原子は極めて不安定ですので通常は、二つの水素原子が結合した水素分子(H2)の形で存在しています。

ところが、陽子と電子が二つずつある ヘリウム原子↓ になると、非常に安定した状態になるのです。

さらに、ヘリウムには水素原子になかった中性子(neutron)というものがあります(水素以外の原子にはヘリウムと同じ様に中性子があります)。

ヘリウムの画と水素の画を比べると、みるからにヘリウムの方が安定している様ですよね。

さて、そこで、「量子」とはですが、量子は物質を形作っている最小単位のモノの総称です。具体的には、陽子や電子、中性子などに代表されますが、さらに小さな光子やニュートリノやクォーク、ミュオンなどといった素粒子も量子に含まれます。

量子コンピュータで使われているのは主に電子ですので、これ以降は「量子=電子」と思ってください。

 ミクロな世界: 量子論

最近、水素原子の写真(量子顕微鏡で可視化したもの)が公開されました。

(http://addictivephysics.blogspot.com/2013/06/Image-of-Hydrogen-Atom-Orbital-Structure.htmlを改変)

この写真を見て、変だと思いませんか? 上の画では水素原子の電子ひとつのはずですが、写真では輪っかになっていて、無数の電子があるように見えますよね!

これが量子論であるミクロの世界の特徴であり、謎なのです。

私たちの見聞きしている環境はマクロの世界ですが、このマクロの世界の常識は、量子(=電子)の環境であるミクロの世界ではことごとく通じない!!!と言うことを認識する必要があります。

その筆頭が、 電子は粒子(物質)であり波(状態)である ということです。

豆知識:光は電磁波の一種で、電磁波は電子が動いてできる波ですから、光は電子のひとつの形態と言うことができます。

光は、ある波長を持って極めて真空(何もない)の宇宙空間を伝わってきますし、複数の光源から発せられた光は干渉(光の縞模様)が起こりますから、その点では「波(状態)」ですが、ブラックホールなどの超巨大重力によって、軌道が曲げられますので、その点では粒子(物質)です。

電子も光と同じく、粒子(物質)の性質と波(状態)の性質を同時に示します。

電子には質量(重さ:9.1093837015(28)×10−31 kg)がありますので、その点からは粒子(物質)ですが、電子自体を捉えることはできませんので、(マクロの世界で言う)物質ではないようです。

さらに、上に示した水素原子やヘリウム原子の図では解りにくいのですが、例えば原子核(陽子+中性子)を直径1mmの球(砂粒程度)とすると、水素の(ひとつしかない)電子は東京ドーム(球場と周りの観客席を全て含む)ぐらいの範囲のどこかに居るし、何処にでも居るのです。

電子を物質とすると、それほどの広範囲に同時に存在することは(マクロの世界では)不可能ですが、これを状態と考えると、可能になります。

豆知識: 「状態」というと解りにくいのですが、これを「季節」とか「(ファッションなどの)流行」と考えると解りやすいかもしれません。

例えば、季節の夏(7月~9月ごろ)という「状態」は、北半球ならば何処でも誰でも夏を感じますし、広範囲に同時に「夏という状態」が存在しています。しかし、夏というモノを捉えたり、保存することはできません。

同様に「流行」というものも、(具体的な内容は違っていたとしても)地球上のどの地域や世代または時代でも、広範囲に同時に「流行という状態」が存在しています。しかし、流行というモノを捉えたり、保存することはできません。

そこで、水素原子の写真で示した様に「雲」と表現する方法が取られています。東京ドーム全体にフワーッと雲がかかっているイメージの方が理解しやすいかもしれません。

という、モノでもない、状態でもない「何か」を扱っているのが量子論(quantum theory)であり、その様な「何か」で作ったコンピュータが量子コンピュータだと言うことです。

専門家が研究しても得体の知れない量子というものを、私のような一般人が理解出来るわけがない!ということで、量子に対する追求はこの辺まで・・・としました。

 量子コンピュータとは何か?

私たちが日頃使っているPCなどのコンピュータは「デジタル・コンピュータ」と言われるもので、半導体(semiconductor)を使ってON(電気が流れる:1)とOFF(電気が流れない:0)の二つの状態を作り出し、それを組み合わせることで、入力された情報を 1001011101 と言うような2進法の信号に変えて処理しています。

量子コンピュータは、このデジタル・コンピュータに使われている半導体の代わりに量子=電子を使ったコンピュータということです。

 量子のもつれ特性

量子は得体の知れないものなので、得体の知れない状況を作り出します。それが「量子テレポーテーション」です。量子テレポーテーションとは、量子の持つ「もつれの特性」と言われる性質を利用した現象です。

この特性は、私たちの住むマクロの世界の知識では理解できないもので、現在でもその原理は解っていませんので、「そういうもんだ」と思って聞いて下さい。

量子のひとつである光子をある装置で二つに引き裂きます。そして、その両者を数百キロの距離に引き離したところで、一方の光子にある刺激を与えて変化を起こさせます。すると、刺激を与えた瞬間に、数百キロ離れているもう一方の光子にも同じ変化が起こるのです。

この引き裂かれた二つの光子の間には何ら通信手段がないにもかかわらず、刺激を与えた途端に両方の光子に同じ変化が起こるのです。これを量子のもつれ特性と呼んでいます。

 量子コンピュータの原理

この様な「もつれ特性」を示す量子を、例えば10組用意したとすれば、ある組だけに刺激(情報の入力)を与えた瞬間に、残りの9組も反応(計算)を起こし始めて、全ての組が同時に結果を出力するので、10組の最終結果は最初のひと組の計算が終わったとほぼ同時に出力されます。(ちなみに、この量子の組のことを「量子ビット」と呼びます。)

一方、現在の半導体を使ったデジタル・コンピュータでは、例えば10組の半導体のそれぞれに刺激(情報の入力)を与えないと、計算を開始しません。さらに、ひと組ごとの計算結果を別のメモリーに保存しておいて、全ての組の計算が終わったことを確認した上で、保存しておいた結果を合計して、最終結果を出力します。

この様に、量子コンピュータの計算プロセスはデジタル・コンピュータよりも格段に少なくなるのだそうです。理論的には、現在のスーパーコンピュータで100年以上かかる計算が、量子コンピュータでは数時間で終わると言われています。

 量子コンピュータはアナログ

私たちが日頃お世話になっているパソコンなどのコンピュータは、デジタル(情報が0か1で構成されている)で情報を処理しています。ここで、0か1かは、半導体に電気が流れるか流れないかで決まります。

ところが、量子コンピュータはアナログ(情報が0~1の間の任意の値)で情報を処理しています。つまり、量子コンピュータは新種のアナログ・コンピュータと言えます。ここで、量子が水平に右回りすると0、左回りだと1となりますが、量子は同時に幾つもの状態になれますので、1/3が右回りで2/3が左回りが0.666・・・、その逆が0.333・・・という様にどの様な状態にもなり得るのです。

デジタル・コンピュータと量子コンピュータのビット(コンピュータの最小単位)を画イメージにすると、下↓ の様になります。

量子が何故、同時に幾つもの状態になり得るか?という理由もまだ解明し切れていないようです。しかし、理屈は解らなくてもそれを利用することはできますので、その成果が量子コンピュータと言えるのではないでしょうか。

 アナログ・コンピュータの実力

実は、最初にできたコンピュータはアナログだったのです、もちろんその当時には半導体などという便利なものはありませんでしたから、真空管と抵抗とコンデンサーを電線で結んだもの(昔の真空管ラジオの中身のような構造)で、データは電流の変化や電圧の変化(これがアナログ)を利用していました。

これがすごくて、単純にある計算をさせると、同程度の能力を持つデジタル・コンピュータよりアナログ・コンピュータの方が解答が先に出る(処理能力が早い)のです。ただし、わずかな電流の変化や電圧の変化を利用しているアナログ・コンピュータはノイズ(雑音)に極めて弱いのが欠点です。

このあたりはアナログ処理をしている量子コンピュータも似ていて、処理速度は極めて速いのですが、ノイズ(温度)に極めて弱いのです。

温度とは原子や分子の振動で起こる現象ですから、温度が上がると、量子の周りを囲んでいる原子や分子の振動が激しくなります。量子からみると周りの原子や分子は地球に対する太陽の様に巨大ですから、その振動が激しくなれば量子はその影響をたちまち受けてしまいます。

そのため、量子コンピュータの特徴であり欠点は、コンピュータの心臓部をほぼ絶対零度(周囲の原子や分子が動いていない)の状態に保つ必要があるのです。実際、作成された量子コンピュータのほとんど(90%近く)は極低温を保つための装置なのだそうです。 量子コンピュータの構造↓ 

(https://blog.global.fujitsu.com/jp/2019-07-18/09/?utm_source=taboola&utm_medium=display&utm_campaign=5906_journal_rssより改変)

この様に、ノイズへの弱点はありますが、0か1のデジタルよりも、0~1の間の任意の値が取れるアナログの方が機能的に優れているのです。

 シュタイナー問題

話を元に戻しまして、コンピュータの機能は、入力した情報(疑問)に対する答えが得られれば良いので、人間からすれば、半導体を使おうが、量子やDNA、微生物、タンパク質を使おうが、答えが瞬時に得られるならば、システムの内容はどうでも良いのです。

このことを示す面白い実験があります。これをシュタイナーの問題と言います。

問題:距離の離れた4つの駅があります。どの駅からも残りの3駅に行ける、総距離が最短となる路線を設計すること。

これは一種の最適化問題ですが、この解を図示すると下↓ の様になります。

(https://okiyamasho.com/?p=302より)

すぐに思いつくのは、右上のバッテン交差路線ですが、正解は右下の路線で、この総距離が最も短くなるのです。

じつは、この解は簡単な実験装置があれば、瞬時に得られるのです。

  1. 板に駅に見立てた4本の棒を立てて、固定します。
  2. 水槽に石けん液(シャボン液)をなみなみと注ぎます。
  3. 1で用意した板を逆さまにして、2の水槽に浸します。
  4. 板をゆっくりと引き上げると4本の棒の間にマクができています。
  5. これを観察すると、上図の最短路線にピッタリ!!!

(https://okiyamasho.com/?p=302より)

もちろん、シャボン液が最適化問題を解こうと思っているわけではありません。ここに作用しているのは、水分子間を結んでいるシャボン分子に働く表面張力だけです。

これと同じことが量子コンピュータの中で起こっていると考えられます。

  • 4本の棒を立てた板が入力情報(問題)となります。
  • 水槽の中の水とシャボン分子の混合状態が、コンピュータコアの量子となります。
  • 板を水槽に浸ける(条件の入力)ことで、情報処理が始まりますが、外からは解を見ることはできません。
  • 板をゆっくり引き出すことが、量子コンピュータから解を得ることになります。

この様に、量子は何も人間の問題を解こうと思って行動している訳ではなく、4本の棒が入ってきたという入力条件の中で、自分達(量子同士)が最も安定した状態になろうとしているだけなのです。

つまり、棒が水槽の中に入ってきた瞬間に、水槽内の全ての水とシャボンの分子や原子、量子が安定な状態になろうと一斉に反応する・・・これと同じことが量子コンピュータの中で起こっていると考えると量子コンピュータの原理がなんとなく解った気になったのですが、皆さんは如何でしょうか?

以上、私の独断と偏見と無知で量子コンピュータの話をかなりデッチあげました。

現段階で、量子コンピュータが実際に使用出来そうな分野は「最適化問題」だけだそうですが、私たちの世界は全て「最適化問題」でできている・・・と言っても過言ではないと思いますので、かなり期待が持てると思います。

デハデハ

 

広告