皆さんこんにちはPartner of Medical Translatorsの津村です。

今日は、「無生物主語構文」について考えてみたいと思います。

日本語にはない英語独特な表現方法ですので、和訳する際には一工夫が必要になります。

 無生物主語ってなんだ?

「無生物主語(inanimate subject)」などと聴きなれない言葉が出てきましたが、この構文は生き物でないもの(無生物)があたかも生きていて、意思があるかのように主語となっている文章のことです。これは英語独特の表現方法で、日本語ではあまりみられません。以下の例文をみてください。

The analysis of the water showed the presence of infectious bacteria.

(その水を検査したところ、感染性の細菌が検出された。)

この様に、分析・検査(analysis)という無生物が主語となって、show(検出する)という能動的な行動をとった様に表現されている文を「無生物主語構文」あるいは「物主構文」と言います。

この文を直訳すると「その水の検査が感染性の細菌の存在を示した」となります。意味が通らない訳ではありませんが、日本語としてはかなり不自然な表現です。

そこで、日本語には無い無生物主語構文を自然な日本語に翻訳する際にはひとひねりする必要があります。

 和訳法 No.1

原因や理由を表す場合は「(無生物主語)のために」、「(無生物主語)の理由で

例文1: Bad weather prevented Mary from taking off on schedule.

(べた直訳:悪天候がメアリーの予定どおりの出発を妨げた。)

無生物主語構文を翻訳する方法は、まず主語のBad weatherを副詞とします。副詞は理由や条件、方法等を表現するもので様々な使用法があります。そこで、文意によって臨機応変に訳すことが必要となります。

その中で、原因や理由を表す代表的なものは「~によって」あるいは「~のために」というものです。例文1でみますと、悪天候によって」あるいは悪天候のために」とします。

次に、目的語を主語とします。Maryが目的語ですから、これを主語とすると「Mary」となります。そして最後に、補語のtaking offを述語として「(Mary出発する」とします。

さらに、無生物主語の場合の動詞は使役動詞が多いのですが、例文の様な否定的使役動詞のときはpreventkeep)をMaryの立場からみて「cannot(+補語)」と解釈します。逆に肯定的使役動詞、letmakehaveなどの場合はcan(+補語)」とします。

以上を組み合わせると;

例文1の和訳: 悪天候のために、メアリーは予定通りに出発できなかった。

となり、べた直訳と比べるとずいぶんと日本語らしくなったと思いませんか。

 和訳法 No.2

条件や手段、方法を表す場合は「(無生物主語)すれば」、「(無生物主語)によって」と訳します。

例文2: That train takes you to Tsukuba in forty minutes.

(べた直訳:あの電車があなたを筑波に40分で連れて行きます。)

これも上述の手順で、まず主語を副詞にします。条件や手段、方法を表す代表的なものは「~すれば」、「~によって」ですので⇒ 「あの電車に乗れば」となります。

次に目的語を主語にして「あなたは」となりますが、日本語訳ではyouを省略する場合が殆どです。そして、takeは肯定的使役動詞ですから「can(+補語)」と解釈します。以上を組み合わせると;

例文2の和訳: あの電車に乗れば、(あなたは)筑波に40分で着きます。

となります。

 和訳法 No.3

時間を表す場合は「(無生物主語)になると」、「(無生物主語)経てば」と訳します。

例文3: Two more years will make you forget about her.

(べた直訳:更なる2年があなたから彼女を忘れさせる。

これも同様に主語を副詞にして、「2年も経てば」となります。目的語のyouは日本語では省略となり、makeは肯定的使役動詞ですから「can(+補語)」と解釈します。以上を組み合わせると以下のようになります。

例文3の和訳: 2年も経てば、(あなたは)彼女のことを忘れられるよ。

 無生物主語構文は第5文型

この様に、無生物主語構文は 5文型(SVOCの形になるのが基本です。第5文型ではO=Cの関係があり、さらにC=Sの関係が成り立ちます。ですので、第5文型には隠れたS+Vがもうひとつあると言えます。

例えば、The accident made her sad.ではShe was sadという状態をThe accidentが作っている、というふうに理解します。従いまして、第5文型では主語が動作の主ではなく、何らかの因果関係の要因となっているということです。

つまり、主語=原因、OC(隠れたSV)=結果 という関係が表現できますので、原因という意味で無生物が主語になれるのです。

しかし、日本語では主語は一般的に動作の主ですから翻訳では隠れたSVが前面に出てきて、さらに無生物主語は因果関係の要因ですので副詞となる、という具合に解釈できます。

 無生物主語構文の和訳例

以上のことを踏まえて、無生物主語構文の「べた直訳」と、日本語になっている訳を幾つか示しましょう。

  •  This medicine will make you feel better.

べた直訳:この薬はあなたの気分を良くするでしょう。

和訳: この薬を飲めば、気分が良くなりますよ。

  •  Newspaper tells us what is going on in the world.

べた直訳:新聞は私たちに世界で起きていることを伝える。

和訳: 新聞を読めば、世界で起こっていることが解ります。

  •  His height makes him stand out in a crowd.

べた直訳:彼の高さは彼を群衆の中で目立たせた。

和訳: 彼は背が高いので、群衆の中で目立った。

  •  Next week will find her in South Africa.

べた直訳:次の週が彼女を南アフリカで見つける。

和訳: 来週になれば、彼女は南アフリカにいる。

  •  This photo remind me of my childhood.

べた直訳:この写真が私に少年時代を連想させる。

和訳: この写真をみると、少年時代を思い出す。

  •  This window will not open.

べた直訳:この窓は開きたがらない。

和訳: この窓はなかなか開かない。

  動詞が決めて

ここで注意しなければならないことは、主語が無生物だからといって無生物主語構文であるとは限らない・・・ということです。

例えば、 This drug is my essential.(この薬は私の必需品だ) は主語が無生物(drug)ですが、無生物主語構文ではありません。

無生物主語構文かそうでないかは、動詞で決まります。上述したように、無生物主語構文は第5文型の形です。そして、学校の英文法で習ったように、第5文型で使える動詞はある程度限られています。

その主な動詞を以下に示します。

have(頼んで~させる) leave(結果的に~のままにしておく)
feel(感じる) find(見つける)
hear(聞く) want(望んでいる)
see(見る) catch(見つける)
watch(じっと見ている) detect(見つける)
notice(気づく) perceive(知覚する)
observe(観察する) dislike(嫌いである)
look at(見る) hate(非常に嫌いである)
make(無理やり~させる) order(命じる)
let(許可して~させる) prefer(~の方がよい)
bid(命じる) wish(願う)
keep(意図的に~のままにしておく) force(強要する)
complete(完成する) allow(許す)

つまり、第5文型で使役動詞が使われている場合は、無生物主語構文の形が可能となります。

逆に言えば、第5文型で無生物主語構文の形が可能な場合は、主語が生物であっても上に説明した無生物主語構文の訳し方が使えるということです。

特に無生物主語構文でよく使われる使役動詞として次のものがあります。

  •  強制の意味: make A do / force A to do / compel A to do
  •  許可の意味: let A do / allow A to do
  •  引き起こす、原因となる: cause A to do
  •  可能の意味: enable A to do
  •  その他: remind A of B / take A to B / bring A to B / lead A to B / show that SV / suggest that SV

 和文英訳の場合

一方、日本語にも無生物主語とよく似た構文があります。

例:あなた~「お風呂が沸いたわよ~」; 二階の電気がつきっぱなしだぞ; 買ってきたお土産がカバンに入っている・・・

お風呂も、電気も、お土産も無生物ですが、立派に主語になっています。日本語の無生物主語構文の特徴は主語の自動詞表現(風呂が沸く、電気がつく、土産が入ってる)にあります。

奥さんがスイッチを入れて沸かしたお風呂なのに「お風呂が自然と(自分で)沸いた」かの様に表現するのです。日本語では、本来は目的語となる風呂や土産などの無生物が「自然とそうなった」的に表現する事は可能なのですが、英語の無生物主語構文の形はとらないのです。不思議ですねぇ。

 無生物主語構文の和訳は、以上の方法を覚えて、すこし練習すれば比較的簡単に実践できます。しかし逆向きの和文英訳は結構難しいです。

日本語には無生物主語構文が無いのですから、ある和文を無生物主語構文の英文にするには、上で説明した方法を逆に行います。

まず、普通の和文を一度「べた直訳」に和文和訳します。そして、その「べた直訳」を英訳すれば良いと言う事になります。しかし問題は、日本語のどの文を無生物主語構文の英文にすればよいかという事です。「無生物主語構文の英文が書けるようになれば英訳も一人前」と言われるほどにこれは難しい作業です。

ひとつの目安は日本文の中に「~すれば」、「~によって」、「~経てば」などの表現が出てきた場合には、無生物主語に出来ないかどうかを考えてみることです。

さらに、英語は基本的に「物質主語」の言語ですので、英文中にIWeTheySheなどの生物主語が頻発する事を嫌い、その様な文章に出会うと稚拙な文章との判断を下しがちです。

ですから、英文を書いていて生物主語が続いている様な場合には無生物主語構文あるいは無生物主語の受動態にできないかどうかを試してみてください。

デハデハ

 

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