皆さんこんにちはPartner of Medical Translatorsの津村です。

今日は日本の英語教育で必ず出てくる5文型の話です。

私の翻訳クラスでかなり出来る受講生さんでさえ、「この英文は第何文型ですか?」と聞きますと、極めてうやむやな答えしか返ってきません。それでも、英文の解釈や翻訳はかなりのレベルに達しています。

それじゃあ5文型なんか必要ないじゃん!

となりそうですが、果たしてそうでしょうか?

 英文の5文型を教えているのは日本だけ!?

実は、英語圏の現代の英文法書を見ても日本で馴染み深い5つの文型の説明は出てきません。また、日本ではこの5文型が金科玉条のごとく扱われていますが、英語圏でない外国では10文型の国や25文型の国など様々なのです。つまり、日本の5文型は非常にローカルでマニアックだということです。

しかし、この5文型は日本で生まれたものではありません。この5文型の出所は、イギリスの語源学者 C.T.Onions らが1900年に出版した本に出ている類型論、いわゆる「五文型英文法」を基準にしていると言われています。しかし、現在の英語圏では文法学者以外は誰もこの5文型を知りませんし、アメリカはもちろんイギリスでも「いわゆる古典」としてすら残らなかったマイナーな理論なのです。

英語は確かに主語+動詞がメインとなっている言語で、特に動詞が重要な働きをしています。その観点から5文型は意味があると思いますが・・・

例えば He lives in Tokyo. と言う文を考えてみましょう。この動詞 live は「住む」という自動詞ですので、これは第1文型で、in Tokyo は付加語と言う事になり、文法上は意味のない語句になります。しかし、この文の主部 He lives(彼は住む)は文法的には成文であっても、コミュニケーションという観点からは付加語である in Tokyo が無いと意味をなしません。

同様に、第3文型として She took me(彼女は私を連れていった) も文法的には成文であっても、コミュニケーション上は何らかの付加語(to the hospitalとか、to the museum など)が無いと何のことか解らないのです。

「言語はコミュニケーションを取るための道具である」と考える英語圏の人々は、我々の5文型ではなく、付加語を加えた文型の分類が現代の主流となっているのです。

しかし、日本が100年以上に渡ってこの5文型を保持してきたのにはそれなりの理由があります。内容を助詞(て、に、を、は)で理解していた我々の祖先にとって、内容を語順で理解するという全く異次元の言語である英語を上達させる早道は、その述語動詞が「自動詞」なのか「他動詞」なのかの判別能力を身につけることが極めて大事だったのです。そしてタイミングよく、この時に役立ったのが C.T.Onions らの唱えた5文型の解釈だったのです。

5文型で是非マスターして頂きたいことは、文型ごとの動詞の働きなのです。同じ名詞であってもある時はO(目的語)になったり、またある時はC(補語)になったりするのは、この名詞自体が持つ性質ではなく、その前にある動詞の持っている性質によるのです。

その点を踏まえて、5文型を再確認して頂きたいと思います。

 英語の文型とは

メディカル文書によく出てくる、英語の長文を理解するには文型を正確に把握し、主語と述語(動詞)、目的語、補語、附属部分・・・を正しく判別しなければなりません。

皆さんは、中学・高校時代に以下の5文型を必ず習ったはずです。

  • 1文型: S+V
  • 2文型: S+V+C
  • 3文型: S+V+O
  • 4文型: S+V+O+O
  • 5文型: S+V+O+C

ここで、[S]は主語、[V]は述語動詞、[O]が目的語、そして[C]は補語を表します。

5文型とは、英語の文章はこの5つの文型のいずれかに当てはまるという、英語の構造(並び順)の最小限の分類です。これはこれで、よくできていると私は思いますが・・・

「そんなこと解っているよ・・・」と言う方、では、次の英文の文型はどれにあたるかお解りでしょうか?

Various regulations apply to the development, manufacture, import, marketing, and proper use of drugs and medical devices in the form of the Pharmaceutical Affairs Law, cabinet orders, MHLW ordinances, etc.

医薬品、医療機器等の開発、製造、輸入、販売及びその適正使用に当たっては、薬事法や政・省令等により種々の規制が適用される。)

この文は日本の薬事法について解説した英文ですが、実はこの文章は第1文型なのです。第1文型は「S+V」ですから、主語と述語動詞しかないはず・・・なのが、2行強の長文になっています。特に、第1文型はこの様な長文になる傾向が強いのです。

この様な平叙文では通常、主語は文の先頭に来ます。ですから、この文も“Various regulations(種々の規制)”が主語になります。そして、通常は主語のすぐ後に述語動詞が来ますので“apply(適用される)”が動詞と言う事です。第1文型ですから、この文は S+VVarious regulations apply(種々の規制が適用される) というところがメインとなる文章になる訳です。しかし、実際にはこの後に長々と語句が続いていますよね。

英文法では主部(Various regulations applyの後に続く to~ の部分を「付加語(adjunct」と呼び、文章の主部に付属されている語句を意味します。ある語句を省略しても英文法的に文が成立している(メインパートが残っている)場合、その省略部分は「付加語」と言う事になります。

実際の文章では、上の例文の様に、英文法的に重要ではない付加語が基本文型(メインパート)に沢山くっついていて、しかもその付加語の部分にコミュニケーション上重要な情報が含まれていることが多いのです。

上の例文でも、付加語の部分の情報の方が主部(Various regulations apply)より重要ですよね。

 5文型のおさらい

 第1文型:S+V

1文型[S+V]とは、[主語と述語動詞]が基本構成である文のことで、主部は主語と動詞の2つで構成され、動詞の後につながる長い文は目的語などでは無くて、前置詞や接続詞で構成される付加語がつながっているだけの文型。 He sings. などがその例です。

この第1文型で重要なことは、述語動詞が「完全自動詞」だと言う事です。完全自動詞の例としては、be, go, come, smile, sing, rain などがあります。

自動詞というのは、「自分で動作する動詞」のことで、「主語が自分で動作する」ことを表わします。

この逆に「何かを~する」という意味を基本的に持っている動詞を「他動詞」と言います。他動詞が意味するのは「~を・・・する」か「~に・・・する」という意味で、このときの「~を」の「~」や「~に」の「~」を文法用語で「目的語(O」と呼びます。

自動詞なのに他動詞と解釈してしまって翻訳を間違うことがよくあります。英語力を上達させるにはその述語動詞が「自動詞」なのか「他動詞」なのかの判別能力を身につけることが大事です。この時に役立つのが文型の解釈です。第1文型と第2文型の述語動詞は「自動詞」だと言う事を覚えておきましょう。

 第2文型:S+V+C

動詞の次に「補語(C」が来ると第2文型になります。誰でも学校で見たことのある

This is a pen.

がその代表です。

補語とは、主語の状態や性状を表す 名詞(名詞句) あるいは 形容詞(形容詞句) のことです。通常、副詞は補語になりません。

主語(S)=補語(C と言う関係が成り立つ名詞(名詞句)あるいは形容詞(形容詞句)があれば、その文型は第2文型です。

上の例文で言えば、Thispen と言う関係が成り立っていますので、第2文型となります。この様に、be動詞の文章は「主語が何か」を表現している場合が殆どですので、S+V+C(第2文型)の形になります。

ちなみに、第2文型の述語動詞は「不完全自動詞」と呼ばれる自動詞です。

 第3文型:S+V+O

この第3文型から第5文型は「動詞が目的語をもつ文型」で、その中でもっとも基本である「目的語が1つだけの単純な型」がS+V+Oです。そしてこの目的語(O)を伴う動詞を「他動詞」と言います。つまり、第3文型から第5文型に使われる述語動詞は他動詞だと言う事です。

他動詞が意味するのは「~を・・・する」か「~に・・・する」という意味で、このときの「~を」や「~に」の「~」が「目的語(O」になります。

He studied internal medicine. (彼は内科学を学んだ)

などが代表的な例です。

見た目は第2文型(He looked sad.:彼は悲しそうに見えた)と変わりがありません。動詞の後の名詞、あるいは形容詞がO(目的語)なのかC(補語)なのかを見分けるポイントは、 S=名詞(形容詞) であればC(補語)、 S≠名詞(形容詞) であればO(目的語)と言う事です。次の例を見てみましょう。

He studied internal medicine.(彼は内科学を学んだ)

⇒ He ≠ internal medicineですので第3文型

He became internal medicine.(彼は内科医になった)

⇒ He internal medicineですので第2文型

実は、文型の違いはO(目的語)やC(補語)になる名詞あるいは形容詞で決まるのではなく、studied(他動詞)かbecame(自動詞)という動詞で決まるのです。

この様に、英語を読むときに述語動詞がどれか、そしてその動詞は自動詞か他動詞か、を見極めることが極めて重要なのです。

 第4文型:S+V+O+O

これも「動詞が目的語をもつ文型」ですが、ご丁寧にO(目的語)がふたつあります。

この文型は、「~に~を~する」という意味の文を意味しています。ここで最初の「~に」にあたる目的語が初めのOで「間接目的語」、次のOが「~を」に相当する「直接目的語」となります。

I made my son a medicine. (私は息子に薬を作った)

この様に、動詞の後に(接続詞なしで)名詞がふたつ続く「動詞+名詞+名詞」文型は、たいがい第4文型です。

4文型で注意するポイントは、最初の目的語が「~に」で、あとの目的語が「~を」の意味であること。この意味を逆に取ると全然違う意味になりますので十分に注意してください。

例えば、同じmakeの動詞を使った文でも第5文型となる次の例をみてください;

I made my son a internal medicine. (私は息子を内科医にした)

非常に似ていますが、「~に」と「~を」の順番が、第4文型と逆になっています。

これらの文型の見分け方は、動詞の後のふたつの名詞が、「名詞1名詞2」ならば第4文型、「名詞1is 名詞2」ならば第5文型と言う事です。

また、前者は「~に~を~する」という意味で、後者は「~を~に~する」という具合に逆転することも忘れないでください。

そして、最初のO(間接目的語)は多くの場合ヒトがきます。ヒトが2つの目的語のどちらかに入る場合はだいたい最初の目的語の位置に入ることを知っておくと便利です。

 第5文型:S+V+O+C

この文は、前の[S+V+O+O]の第4文型と紛らわしいですが、最後の[C]がポイントなので、その「補語」を理解すれば簡単に分かるようになります。

ここで「補語C」とは、他動詞の後に置かれている目的語(O)の状態を示す名詞、形容詞、動詞(原形、~ing形、過去分詞形)のことです。このとき、[目的語]と[補語]のあいだには[ 目的語]is[補語] つまり OisC と言う関係が成り立ちます。例えば

I made my son a doctor. (私は息子を医者にした)

は代表的な第5文型ですが、[Omy son is Ca doctor]と言う関係になっています。また、

I saw a nurse crying. (私は泣いている看護師を見た)

と言うのも代表的な第5文型で、ここでも[Oa nurse is Ccrying]と言う関係が成り立っています。

5文型の形が取れる動詞は知覚動詞thinkfeelseeobservenoticeなど)と使役動詞makehaveletchooseallowappointなど)で、かなり限られています。

コミュニケーションの観点からは確かに、5文型はそれほど重要ではないかもしれませんが、翻訳、特にメディカル翻訳ではこの5文型をしっかりと理解しておくことが、正確でHigh Qualityな翻訳を達成するのに役立ちます。

デハデハ

 

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