皆さんこんにちはPartner of Medical Translatorsの津村です。

今日は、英文和訳をするときの問題点として、基本的な接続詞であるand(又はor)の訳し方についてお話ししたいと思います。

なにを今さら! そんなこと、言われなくても解っているわぃ😠。

と思われた方、では、次の英文を見ていただきましょう(例題文の和訳例は、ページの最後にあります)

This includes the nature and intensity (extent, amplification, duration, and reversibility) of the effect of the medicinal product on the specific target and non-targets and subsequent mechanisms, ・・・    (1)

一文の中にandが4つも出てきていますが、各々のandが何を接続しているか正しく解説できますか?

| and(or)の基本ルール

まずは、接続詞としてのand(又はor)を英文で使う際の基本的ルールをおさらいしましょう。

接続詞and(又はor)は「等位接続詞」と言い、 A and B が最も基本となる形です。この時、何が「等位」なのかと言いますと、接続しているAとBが、同じ性質の語句だ と言うことです。

Aが名詞ならBも名詞、Aが動詞ならBも動詞、Aが副詞句ならBも副詞句・・・と言う具合に、同じ性質の語句を並行関係で接続するのがand(又はor)の役目なのです。ですから、動詞と名詞とか関係代名詞節と動名詞句など、異なる性質のものはand(又はor)では繋げません。

コメント:等位接続詞としてはand、but、or、nor、forなどが代表的で、2つ以上の語句を結びつける場合に、対等な関係で結びつけます。A as well as Bやneither A nor Bなども等位接続詞です。

一方、if、when、since、asなどの接続詞は従位接続詞と言い、これらの接続詞に続く語句がもうひとつの語句をサポートする、主従関係を作ります。

そして、ここからが大事なことですが、繋ぐ語句が沢山ある場合、最後の語句の前にandを入れ、それ以外の語句はカンマ(,)で区切るのがルールです。例えば;

apple, orange, grape, banana and peach

と言った具合です。これはルールですので、沢山の語句が並ぶときには、必ず最後の語句の前にandが入ります。言い換えると、and(又はor)の後ろの語句が、一連の語句の並びの最後のものと言うことです。

原則として、andの前にはカンマ(,)を入れませんが、長い句や節を複数繋ぐときや誤解を生じる可能性があるときはあえてカンマ(,)を入れます。メディカル文書の場合はandの前にはカンマ(,)を入れることがよくあります。

これを踏まえて、上記の(1)の英文を見てみますと・・・

  • the nature and intensity ⇒ andの後の intensity=強度、程度 が最後の名詞ですから、andの前にある名詞として nature=性質、特質 がペアになります。
  • extent, amplification, duration, and reversibility ⇒ andの後の reversibility=可逆性 が最後の名詞ですからその前に並んでいるextent, amplification, durationと併せてひとくくりになります。
  • the specific target and non-targets  ⇒ andの後の non-targets=非標的 が最後の名詞ですから、andの前にある名詞として specific target=特定の標的 がペアになります。 
  • そして最後の and subsequent mechanisms ⇒ andの後の subsequent mechanisms=その後の機序 が最後の名詞ですから、andの前にある名詞として non-targets あれ~~~ non-targetsは既に別の名詞とペアを組んでいるジャン!ここの関係は少し特別で (the specific target and non-targets)and subsequent mechanisms と言う関係になっています。これでも、(the specific target and non-targets)は名詞句ですから subsequent mechanisms(名詞) と同じ性質の語句となっています。

| andの和訳はどうなるの?

この様に、英文でのand(又はor)にはその使い方に明確なルールがあります。では、日本文の方のルールはどうなっているのでしょうか?

実は、日本語には接続詞の使い方に関する明確なルールがないのです。

言語学者の金田一春彦先生によると、一応、つなぐべき語句等が沢山ある場合の表現方法としては A, およびB, C, D と最初の語句の後にだけ「および (または) 」を入れるのが原則だそうですが、英語ほど厳格なルールではなく、色々な表現方法が可能です。例えば

  • 英文のように A, B, C および D でも良いし、
  • Aと、Bと、Cと、Dと でも良いし、
  • A, B, C, Dなど でも良いのです。




翻訳の授業をしていますと、英文の A, B, C and D は、必ず A, B, C および D としなければいけない! と思い込んでいる方がいるのですが、そんなことはなく、和訳文では必ずしも英文のとおりにandを訳す必要はありません。さらに、and自体を訳さなくても一向にかまわないのです。

と、ここまではちょっと詳しい英文法の本などに出てくるのですが、実際の翻訳では、次の様な英文がしばしば出てきます。

The presence of T cells reactive to T cell epitopes common to Cha o 1 and Cry j 1, and T cells specific to T cell epitopes unique to Cha o 1 in patients with pollinosis, ・・・    (2)

ここで、A and B の語句の前にpresence ofがあり、後ろにin patientsがありますが、前のpresence ofはどこまでを修飾していて、後ろのin patientsはどこに掛かっているのか解りますか?

☕ X of A and Bの訳し方 

実は、これが今日の本題なのですが、X of A and Bの形では ①XはAに掛かる 場合と ②XはA and Bに掛かる 場合の二とおりが考えられます。

この形に遭遇したとき、最初に考えるのは ②XはA and Bに掛かる の方です。

②の形で訳すと意味がおかしくなる場合は、Second choiceとして、①XはAに掛かる を検討してください。

上の(2)の英文でみますと、X=presence ofは A=T cells reactive to T cell epitopes common to Cha o 1 and Cry j 1 と B=T cells specific to T cell epitopes unique to Cha o 1 の両方に掛かっている形になります。

この形の英文を和訳する時は、 AとBのX がfirst choiceで、 AのXおよびBのX がsecond choiceとなります。中学でならう数学の因数分解に例えるならば

X of A and B⇒ X(A+B) = XA+XB

とイメージすると良いでしょう。 さらに、この応用として

☕ X of A and B in Y

この形も X of A and B の時と同じで、最初に考えるのは XもYもA and Bに掛かる という方です。

この形で訳すと意味がおかしくなる場合は、Second choiceとして、XはAに掛かり、YはBに掛かる を検討してください。

中学でならう数学の因数分解に例えるならば

X of A and B in Y⇒ X(A+B)Y = XAY+XBY

とイメージすると良いでしょう。

上の(2)の英文でみますと、X=presence ofとY=in patientsは A=T cells reactive to T cell epitopes common to Cha o 1 and Cry j 1 と B=T cells specific to T cell epitopes unique to Cha o 1 の両方に掛かっている形ということです。

この形の英文を和訳する時は、 YにおけるAとBのX がfirst choiceで、 YにおけるAのXおよびYにおけるBのX がsecond choiceとなります。

ここで、in Yはon Yやfor Y、 as Yなどに変化しても同じ扱いになります。

デハデハ



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英文(1)の和訳例: これには、該当する場合は、特定の標的それ以外の標的及びその後の機序に対する医薬品の作用の特性強度(程度、増幅、作用時間、可逆性など)が含まれる。

英文(2)の和訳例: 花粉症患者において、Cha o 1とCry j 1に共通している T細胞エピトープ(抗原決定基)に反応するT細胞、Cha o 1特異的な(特有の)T細胞エピトープ固有のT細胞両方の存在が・・・

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