皆さんこんにちは、Partner of Medical Translators の津村です。

前回、メディカル(医薬)翻訳のための語学スクールの通学コースのご紹介をしましたが、そこで触れたようにほとんどの語学スクールは東京圏にありますので、物理的に通学できない! とか、 時間的に無理! と言う方が多いかと思います。

そこで今日は、メディカル(医薬)翻訳のための通信講座についてお話ししたいと思います。

前回お話しした語学スクールでも通信講座を併設しているコースがありますし、ISSインスティテュートなどの様に、インターネット講座を併設している場合もあります。私が講師をしているISSインスティテュートでのインターネット講座の参加者の中には、オーストラリアや米国、シンガポールの方(日本人ですが)もいらっしゃいました。

最近では、紙ベース主体の通信講座に、ビジュアルを組み合わせたコースも出現しています。ただし、メディカル(医薬)翻訳のための通信講座は依然として紙ベース主体の様ですが・・・

語学スクールと同様に、メディカル(医薬)翻訳のための通信講座も数が限られていますので、選択の自由度はそれほど高くありません。

以下に代表的なメディカル(医薬)翻訳のための通信講座をご紹介します。

✨ DHC総合教育研究所

サイト:http://www.edu.dhc.co.jp/campaign/

DHCと言いますと、今でこそ化粧品やサプリメントなどの一大製造販売メーカーですが、創業当初は翻訳業務や出版事業、教育事業が中心の会社でした。その後、副業で始めた化粧品製造販売がヒットして、今ではそちらが本業となっています。翻訳業務や出版事業、教育事業の影が少し薄れていますが、依然として活動しており、その実績は確かなものです。

● 英日メディカルコース

『DHCプロ翻訳家・推薦制度』対象講座の中でNo.1の人気を誇る専門講座です。DHCの講座の特徴は、成績優秀者への特典があることです。例えば・・・

  • 成績優秀な修了生はDHC翻訳部門の登録翻訳家として推薦されます。
  • CRO(開発業務受託機関;製薬会社と契約して開発業務を代行する企業)業界大手のシミックホールディングス株式会社の正社員として推薦されます。
  • 翻訳会社WIPジャパン株式会社(https://japan.wipgroup.com/index.html)の運営するオンライン翻訳サイト『訳すYAQS』に翻訳者登録されます。
  • 人材派遣会社CUE(http://www.cue-group.co.jp)からの業務の紹介を通じて、翻訳家としてのキャリアをサポートします。

この様に、通信講座としては異例の特典が用意されています。

コース内容:期間 6カ月(+無料延長3カ月)、添削課題 6回、101,520円(税込)

このコースの内容はかなり専門的ですので、いきなり受講して高成績を取るのは至難の業です。

そこで、前段階のコースが用意されています。

● メディカルベーシックコース

この講座は、メディカル(医薬)翻訳者を目指す方々のご要望に応えて立ち上げたもので、4ヶ月のテキスト学習となります。このコースからは、メディカル翻訳の技能を養成するための基礎知識、即ち、医薬品や医療機器の知識から、“薬事法・治験”や“医学統計”、“遺伝子・がん”、”再生医療”といった近年の医薬翻訳において特に扱うことの多い重要知識を体系的に学ぶことができます。

通年で受講生を募集しておりますが、実は、このコースのテキストは私が執筆したものです。あくまでも、翻訳(候補)者の目線からテキスト等を作成しておりますので、メディカル(医薬)翻訳を目指している方の医薬系専門知識を強化するのに最適な教材となっています。

コース内容:期間 4カ月(+無料延長3カ月)、課題 全4回(マークシート式確認テスト)、54000円(税込)

  • 医学・薬学の翻訳に興味があるけれど、専門知識がないのでメディカル翻訳をきちんと学習できるか不安…。
  • 特に需要の大きい医薬翻訳分野で活躍できるような翻訳家になりたい!でも、何から勉強すればいいのか?
  • 「英日メディカルコース」の学習後、医薬翻訳スキルをもっと伸ばしたい。さらに知識を積み上げるにはどうすれば?

と言うような方にうってつけのコースとなっています。

 

✨ ヒューマンアカデミー

サイト:https://www.tanomana.com/product/jobchange/1164T035.html

● 英日メディカルコース

純粋な医学と薬学の知識を身につける講座です。治験や医薬品・医療機器の開発・承認申請に関するメディカル翻訳を学ぶのは、別のコース(以下に示す 英日メディカルコース ADVANCED)になります。

※本講座は、DHC総合教育研究所と提携した通信講座です。

カラダの構造や臓器別の機能・疾患など、医学・薬学の基礎知識を体系的に学びながら、医薬翻訳のテクニックを学ぶことができる専門の講座です。

標準学習期間6ヶ月、課題添削6回、価格:101,520円(税込)

本コースの特徴、特典は・・・

  • 豪華な監修・執筆陣で医学・薬学に特化した翻訳講座:東京大学名誉教授である和田攻先生が監修、医学博士である栗原伸公先生が執筆を担当しています。テキスト内の訳例と解説は、第一線で活躍中である医師・薬剤師・プロの翻訳家の手によって書かれたものになります。 ⇒ お医者さんが主体の執筆陣ですので、学問としての医学・薬学の色合いが濃いです。
  • 優秀な修了生は提携企業DHCの翻訳・通訳部門への推薦を受けられる
  • テキスト以外にも医薬翻訳の際に役立つ各種教材がある:テキストの他にも、医学英語の成り立ちや基本用語を解説した「医学用語ハンドブック」や、全身の骨格・内臓・動脈系・静脈系などの人体の基本構造をカラーでまとめた「図解資料」がセットになっていて、より知識を習得しやすくなっています。 ⇒ これらの資料は一見の価値があります。

● 英日メディカルコース ADVANCED

こちらは、上のコースの実務版となっていまして、現役のメディカル翻訳者が執筆しています。原則として、上の「英日メディカルコース」修了の方が対象です。

標準学習期間6ヶ月、課題添削6回、価格:86,400円(税込)

※本講座も、DHC総合教育研究所と提携した通信講座です。

時代のニーズが益々高まる医薬翻訳のスペシャリストを養成する講座です。この分野の最前線で活躍するために不可欠な「翻訳力」と「調査力」を養成する需要の高い実践的なコースとのことです。

 

✨ フェローアカデミー

サイト:https://www.fellow-academy.com/fellow/pages/home/master/wjmn.jsp

メディカル翻訳以外の技術翻訳の語学スクール(通信講座も)として定評がありますが、最近、メディカル翻訳の講座も開設したようです。フェローアカデミーさんの依頼で、過去に何回かメディカル翻訳の講義をしたことがあります。

フェローアカデミーの通信講座を受講するには、スクリーニング試験を受けて、合格する必要があります。

● マスターコース メディカル

本講座では、主要臨床医学雑誌に掲載された薬や治療法に関する原著論文を題材にして、論文の一部を和訳したり、全体の内容を短時間で把握するコツを指導していきます。とのことですので、(治験や医薬品開発系ではなく)医学論文を中心とした学習になります。

標準学習期間6ヶ月、課題添削6回、価格:81,000円(税込 87,480円)

主要臨床医学雑誌に掲載された薬や治療法に関する原著論文を題材にして、論文の一部を和訳したり、全体の内容を短時間で把握するコツを指導していくようです。

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以上、代表的なメディカル翻訳の通信講座をご紹介しましたが、講座の絶対数がそれほど多くないことがお解りかと思います。また、費用の面でも、複数のコースを受講すると通学コースと同程度の額になります。

ではでは