皆さんこんにちは、Partner of Medical Translators の津村です。

今日は、メディカル(医薬)翻訳者となるための語学スクールについて、お話ししたいと思います。

メディカル(医薬)翻訳者となるためには、翻訳エージェントの契約翻訳者になることが重要ですが、契約翻訳者になるためにはエージェントの行うトライアル(評価テスト)に合格しなければなりません。

そのための準備としては、メディカル(医薬)翻訳のイロハを語学スクールで勉強するのが早道です。ここでまず、語学スクールの特色を示しておきましょう。

  • まず大きな専門性で見ますと、一般翻訳講座しかないスクール、専門(ビジネス翻訳、映像翻訳あるいは文芸翻訳)の翻訳講座しかないスクール、そして、その両方の講座を持っているスクールの3種類があります。 ⇒ 英語の基礎を鍛えつつ、翻訳技術も身につけたいなら、両方の講座を持っスクールの方がなにかと優遇処置が受けられます。
  • 詳細な専門性で見ますと、メディカル(医薬)翻訳講座のあるスクールとないスクールがあります。 ⇒ メディカル(医薬)翻訳を目指すなら講座のあるスクールを選ぶのが筋ですが、メディカル(医薬)翻訳講座のあるスクールはかなり少ないです。
  • また、通学コースしかないスクールと、通学に加えて、通信講座コースやインターネット・コースを併設しているスクールがあります。 ⇒ ほとんどの語学スクールは関東・東京圏にありますので、それ以外の地域の方は通信講座コースやインターネット・コースのあるスクールが良いでしょう。
  • 最後に、独立した語学スクールと、親会社や兄弟会社が翻訳エージェントの語学スクールがあります。 ⇒ 後者のスクールでは関連する翻訳エージェントへの紹介がうけられます(ただし、成績次第ですが・・・)。

私のこれまでの経験から言いますと、本業で英語に関連する仕事に就いていない方は、まず、一般英語講座、例えば、英検とかTOIECの受験講座を受講して、英検準1級以上あるいはTOIEC 800点以上を目指すとよいでしょう。⇒ ただし、英検準1級以上あるいはTOIEC 800点以上を持っているからといって、翻訳が出来るかというと、必ずしもそうとは言えませんが、無いよりは有った方が良いでしょう。

次のステップとして、一般翻訳講座を受講することをお勧めします。英語力には自信があるから・・・といって、いきなり専門講座(メディカル翻訳とか特許翻訳とか)に参加してくる方がいますが、大概はうまくいきません。「英語が理解出来る」ことと「翻訳が出来る」ことは別の技能ですので、英語力を付けた上で、基本の翻訳力も付けないと翻訳者にはなれません。

どの語学スクールを選ぶにしても、受講料は決して安くありませんので、事前のチェックは入念に行っておく必要があります。

以下に、私がこれまで何らかの形で関係してきた語学スクールを幾つかご紹介します。

✨ ISSインスティテュート

サイト:https://www.issnet.co.jp/courses/e_t_index.html

元々は、通訳者養成スクールでしたが、現在では翻訳者の養成講座も多数揃えています。一般翻訳講座に加えて、メディカル(医薬)翻訳講座もあり、メディカル(医薬)翻訳講座では現在、私が講師を務めております。

特徴は、母体として 業界1位の大手翻訳会社である(株)翻訳センター が付いていますので、講座を優秀な成績で修了出来れば、翻訳センターのトライアルの受験資格がもらえます。通常、翻訳エージェントのトライアルの受験資格として「(翻訳関連業務)経験」が必要ですが、ISSインスティテュートの推薦があれば「経験なし」でも受験できるのが特典です。ちなみに、私は翻訳を始めた当初から翻訳センターと業務契約を結んでいます。

また、兄弟会社としてISS人材派遣がありますので、ここを介して、製薬関連企業での派遣業務(翻訳業務やチェッカー業務)が可能となり、それによって「(翻訳関連業務)経験者」となれますので、どこの翻訳エージェントのトライアルも受けることが出来るようになります。

総合翻訳科:基礎科~実践実務科の4コースがあります。

専門別翻訳科としての医薬翻訳講座:全15回(30時間);¥172,800 添削あり、スクーリングあり、インターネットコースの併設あり

 

✨ ILC国際語学センター

サイト:https://www.ilc-japan.com/tokyo/trans/honyakucourse/medical

メディカル(医薬)翻訳専門のスクールです。私が最初に医薬翻訳の勉強をしたスクールで、卒業後に当スクールの講師に就任し、昨年まで努めていました。

私が在籍していた時には総合翻訳のコースや複数の専門翻訳コースもありましたが2019年からメディカル(医薬)翻訳専門となった様です。

独立のスクールで、提携の翻訳エージェントは特にありません。また、通学コースのみで、通信講座コースやインターネット・コースの併設もありません。

初級コース:全19回(43時間25分); 165,000円(教材費・課題添削代・税込)

上級コース:全19回(43時間25分);170,000円(教材費・課題添削代・税込)

本コースの講師の吉田先生は、本校での私の講座の卒業生で、プロの翻訳者になった方です。

 

✨ MRI語学センター

サイト:https://mri-trans.com/contents/hp0039/index.php?No=21&CNo=39

業界4位の翻訳エージェントである(株)Media総研の運営するスクールです。私は親会社の(株)Media総研と契約していて、少なからず業務を受託しています。

元々は、(株)Media総研の専属翻訳者の養成部門でしたが、現在は語学スクールとなっています。

総合翻訳のコースとして実務翻訳 基礎講座があり、英日コースと日英コースがあります。

メディカル(医薬)翻訳コースとしては2種類あり;

STEP1(実践):5ヶ月(受講延長制度あり)、 添削課題6題(日➡英または英➡日)、 48,600円(税込)

STEP2(プロ):8ヶ月(受講延長制度あり)、 添削課題10題(日➡英または英➡日)、 62,640円(税込)

 

✨ サン・フレア アカデミー

サイト:https://www.sunflare.com/academy/?page_id=249

翻訳エージェントである翻訳会社(株)サン・フレアの運営するスクールです。私は(株)サン・フレアとも契約を結んでいて、特に和文英訳のお仕事を受けています。また、数年前には、本スクールで講師を務めていました。

どちらかと言いますと、和文英訳に長けているスクールと言えるでしょう。

通学科と通信科が併設されていて、コースによってはインターネット科(画像の視聴のみ)もあります。

医学・薬学系の講座が複数用意されていて、珍しいのは「医療機器和訳演習」というコースがあることです。代表的なコースを以下に挙げておきます。

医学・薬学<中級>:通学科; 英日、日英、 2.5ヵ月(週1回 2時間20分×10回)、 71,000円(税込)

医学・薬学<上級>:通学科; 英日、日英、 5ヵ月(週1回 2時間20分×20回)、 142,000円(税込)

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以上、メディカル(医薬)翻訳の講座をもっている代表的な語学スクールを紹介しました。メディカル(医薬)翻訳の講座を持っているスクールの多くはその母体が翻訳エージェントで、メディカル(医薬)翻訳者を自前で育てようしている様子が窺えます。

受講料は、いずれのスクールも似たり寄ったりで、約半年で17万円強といったところでしょうか。また、選定のポイントとして、現役のメディカル(医薬)翻訳者が講師を務めているスクールをお勧めします。大学や専門学校の先生が講師となっているスクールもありますが、これらの先生は翻訳の実務経験が少ないので、実践的な講義には向かないことが多いです。翻訳は実務経験が一番ものを言います。

次回は、通信講座についてすこし触れてみたいと思います。